ご挨拶

第7回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会 大会長
山田 隆司
(台東区立台東病院 管理者)

 2017年、いよいよ新しい専門医制度が始まります。全ての基本領域の専門医認定は、あらかじめ日本専門医機構が審査する研修プログラムをもとに進められることになりますが、これはすでに当学会が実施してきた専門医制度のかたちを踏襲するものです。今回19番目の基本領域として認められた総合診療についても、そのプログラム整備基準は概ねわれわれの学会が家庭医療専門医として構築してきたものがその基本骨格となっています。まさしくこれまでプライマリ・ケア連合学会が担ってきた研修の仕組みが社会的に認められ、時代がそういった専門医を待ち望んでいることに他なりません。

 一方で医学全体は専門分化が進む中、人から臓器へ、臓器から細胞、遺伝子へと関心の主体が移ってきました。患者さん全体のことや、家族とのつながり、地域社会との関わりは医学の関心事から薄れていったと言っても過言ではありません。医療は個々の患者の個性をそぎ落とし、家族関係から隔離し、地域の事情には無関心になりつつありました。そんな背景から今国民は個々の事情を理解し、家族に寄り添い、地域とともに歩む医師を渇望しているのです。

 今こそわれわれは国民のニーズに応える医師の集団となるべく、自ら個々の枠組みを超えて結束しなければなりません。学会内ばかりでなく、関係が近しい周辺の学会や、また医師以外の専門職、地域社会と広く手を結んで、われわれ自身が求められる医師像へと自己変革していくことこそが、われわれが進むべき総合診療医の姿だと確信しています。

 「地域医療と総合診療医-みんなでつくる地域医療、みんなで育てる総合診療医-」というスローガンのもと、関係する全ての仲間とともに一致団結して、記念すべき大会を成功裏に導きたいと考えています。

 東京では最も地域を感じることができる浅草の地で、みなさんのお越しをお待ちしています。

上へ