日本プライマリ・ケア連合学会

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セミナーリポート

WONCA WORLD CONFERENCE in SEOUL 2018 2018/10/17~21 (SEOUL)

WS2-090 Leadership in Family Medicine – Time for a Toolkit 金城 謙太郎 亀田森の里病院


 20セッション(セミナー、ワークショップ、口演)並列の時間枠の中、「家庭医療リーダーシップーツールキットの時間」に出席しました。
 最初にミネソタ大学のShailey Prasad医師の講義です。リーダーシップは①ミッション、②政治的行動、③ソーシャルメデイア、④トレーニングでの機会や能力が重要とし、Ronald A. Heifetz氏らのAdaptive Leadershipの説明がありました。Tension(緊張)を寛容限界を越えないようにHolding zoneに自らコントロールするため①感情の知性、②組織の公正、③性格、④個人の成長を考慮しながら、行動段階として①“Troops(味方)”に出会う事、②決断する③、ミッションにフォーカスする④、戦略的意図を話し合うのが重要と説明。Adaptive challengeとして、衝突を指揮する>仕事に戻る>バランスを維持する>バルコニーに行く(Tensionをcool downする)>政治的に考える>衝突を指揮する事が重要と説明。その後、参加者約40名で、『医学はArtかScienceか』で2分討論。パラドックスな問題は解決困難で、バランスで対応する事が重要で、問題レベルが個人、クリニック、国、世界等どのレベルかを認識し対応すべきと説明。最後に①自分の思った事をする、②正しい事をする、③人々が正しい事をすることを考えて行動すべきとアドバイスがありました。
 次にDuke大学のViviana Martinez-Bianchi先生は、ベストリーダーシップスキルについてでした。リーダーは①どこかに向かっており、②他の人々が仲間になるよう確信させる能力があると説明。良いリーダーは、他の人々にリーダー自身に自信を持たせようとするが、偉大なリーダーは他の人々自身に自信を持たせようする。その技術として、目的を明確に、簡潔に、確信を持ってコミュニケーションする能力が根源にあると説明。変化を恐れて自らに鎖をつけないように、リーダーシップは他の人々に夢をみる能力を呼び起こす事と説明。自らの変化を実行するためにどうすべきかのグループワークが行われました。私の相手はケニアの家庭医療医で救急部門を病院内でいかに機能させるかでした。問題提起に5Ws1Hで対応し、Kotterの8stageの活用、VUCA環境でのVUCAスキル活用で1人称単数でなく複数で、人との繋がりが大事との話がありました。
 本ワークショップは軍隊やビジネス業界で提唱された概念の有効利用についてでした。日本のプライマリ・ケア、家庭医療、総合診療の変革に有用なツールと考えます。これらを日々の仕事で有効活用できればと考えます。また、Martinez-Bianchi先生は18日にAmanda HoweさんとAdvocacyのWSを開催し、その資料をくださいました。Advocacyもリーダーシップにより推進され、相補する概念と考えます。
  

 若林 崇雄 JCHO札幌北辰病院総合診療科


 「独り海外」は2回目の、庶民的な若林が若干の興奮とともにWONCAの報告をいたします。WONCAではいくつかのWSやセミナーに参加しました。Home visit careにおける認知症評価などが印象に残りましたが、私の英語力では3割程度しか理解していないと思います。むしろWSは当てられやしないかとひやひやしていました。本当は海外の方ともフランクに話し合いたいのですが、そこは慎み深い日本人ですので、ほんの数名の方としか会話できませんでした。堂々と質問する若手日本人など見かけますとたいへんうらやましく感じました。とはいえ講師の英語が素晴らしいかというと、特に途上国の方など私が聞いても適当なのではないかと思うこともしばしばで、要は堂々としていればよいのかもしれません。
 一応、ポスター発表も行いましたが、影響は不明です。プレゼンの時間は決まっているのですが、WONCAの発表は敷居が低いと思われるので、海外初挑戦という方はぜひWONCAをお勧めします。皆さん、チャンスです。
 ポスター発表で3つ隣はタイの医学部5年生の発表でした。今や国・年代を問わず海外に出ることは日常のようです。参加されなかった先生方も半分観光気分で気軽に参加されてはどうでしょうか。私は物見遊山も大好きで、国際学会でもその土地を知ることは大事だと思います(こじつけ…)。参加してみて、私はこれからもWONCAなど海外行きたさに細々と研究活動を続けようと思いました。お読みいただきましてカムサハムニダ。
 写真1:病院に提出した証拠写真。陽気なネパール人が撮影してくれた。ポスターは帰りの電車内に置いてきてしまった。
 写真2:会場の前にあった寺院から撮影した学会場(COEX)。韓国は古い文化と超近代的施設が同居していた。
  

 富田 詩織 聖路加国際病院


 2018年10月17日から20日まで韓国ソウルで行われたwonca soeulに参加してきました。
 Woncaへの参加は2度目で、今年度はWonca worldということで、昨年よりも人数が多く、参加国数も昨年より多く賑やかでした。
 私はpre-conferenceから2日までしか滞在できませんでしたが存分に楽しんできましたので、レポートさせていただければと思います。
 1日目は各国の若手ドクターとのワークショップを行い、各国の医療の違い、意識の違いを共有しました。その後は景福宮に観光へ行き、そのままサムギョプサルをみんなで囲みました!その後バーに移動して夜までお酒を飲みながら深夜まで盛り上がりました。他の学会がどうなのかはわかりませんが、人数が少ない分国や施設だけで内輪で集まって楽しむのではなく、全世界、日本全体という単位で集まりディスカッションしたり、たわいない会話を出来るのはこの学会の良さだと改めて思います。
 2日目は開会式から参加し、世界中の家庭医が心を合わせてプライマリケアの発展や生涯学習について考えるという一体感にワクワクしました。夕方はポスタープレゼンテーションを行い、今年は昨年に引き続きポリファーマシーについて演題を提出。無事に終わりました。
 夜のwelcome partyにはこんなに世界から集まっているのか、と驚くほどの人数が参加されており、韓国料理を楽しみました。その後、日本から参加している若手医師同士で夜の街に繰り出し、ビールを片手に盛り上がりました。全国の若手の仲間たちとは、年に数回しか会うことはできませんが会うたびに非常に刺激をもらいます。将来の夢から最近のプライベートまで、話はつきませんでした。。。
 3日目は、各国のプライマリケアの現状についてのセッションに参加したり、女性のライフステージの移行期をどう支えていくのかというセッションに参加。女性のライフステージに合わせた働き方の工夫は日本だけでなく各国の課題なのだと感じました。しかし、Woncaの会長であるアマンダはパワフルな女性ですし、先日RCGPに参加した時もトップは女性でした。日本のプライマリケア領域でもどんどん女性が活躍していけるといいですね。私もまずは置かれた場所で出来ることから頑張りたいな。と思えました。
 3日間、各国の家庭医からも日本の家庭医からもたくさん刺激を受けました。日本に帰ってからもまた頑張り続ける活力になりました。
 来年はいよいよ京都でWoncaが開催されます。日本のプライマリケアを世界に知ってもらい、日本を好きになってもらう機会だと思いますので若手からも盛り上げていきたいと思います。
  

Rural Experiences around the World: Student and Young Doctors 鈴木 智大 赤穂市民病院


 私にとってWONCA2018は初めての国際学会参加であるとともに、自分の進みたい道を考え直す上で非常に有意義でした。国際学会だからこそ気付けた内容についてリポートさせていただきます。特に印象に残ったのはRural Experiences around the World: Student and Young Doctors. というパネルセッションでした。セッションの内容自体は、イギリス・オーストラリア・バングラディシュなどの国でrural medicineの研修を医学生に受けてもらっているというものでした。とても印象的だったのが、オーストラリアでrural medicineを実践している若い先生の、とてもポジティブに医療活動を行っている発表でした。実際、すべてにおいてネガティブな印象を持っているわけではありませんが、日本の地域枠制度に義務年限などのネガティブな言葉があったり、rural medicineがいかに素晴らしいのか説明できない私にとっては衝撃的でした。「rural medicineを志す若い先生方はどのような点を田舎での医療の魅力と思っているのでしょうか?」という質問をしてみました。実際にpositive role modelとなる数年先の先輩医師が近くにいて、幅広い分野の医療を自分で行えること(都市部では他科がやってしまうお産や帝王切開までしている人もいるとのことでした)、正しい医療を行えているという感覚をもてることが魅力だと話をされていました。
 そこにいた参加者のオーストラリアの先生が、オーストラリアのrural medicineに精通している日本人の先生を紹介してくださり、そのつながりで色々な先生を紹介してくださることになりました。Gala dinnerでは色んな国の先生からrural medicineの話を聞くことができました。実際にオーストラリアでのrural medicineはscholarship bonded という言葉があるようにネガティブな印象だったこともあったようですが、家庭医の中でもrural medicineに従事する医師は1つの専門性として認識されており、自ら志す医師も増えているとのことでした。カナダでは医師の80%が家庭医で占められていること、中国には100万人のvillage doctorという階級の医師がいること、スペインには救急医がいなくてその役割を家庭医が担っていることなどの話が印象的でした。
 普段は目の前の診療のことでいっぱいいっぱいになっている事が多いですが、そのような医療提供体制の違いや色んな地域でのrural medicineの在り方・魅力など自分の興味のある分野を再確認することができました。
 Gala dinnerの帰り際にほかのセッションでdiscussionした東南アジアの国の年配の先生に出会いました。簡単な挨拶を交わし「Have a good life.」と言われました。あぁ、この人と会うことはおそらくもうないのだろうなぁと思うとともに、いい医者人生にしていこうと思うことができたWONCA2018でした。
 (私の拙いリスニング力で聞き取った内容で文献的な裏付けは行えていません。)
  

WONCA2018 poster presentation 玉井 恒憲 国立病院機構埼玉病院


I registered a case report for the poster session of the 2018 WONCA international conference. About three months ago, I spoke very little English, so my English conversation skills were nowhere near what would be required to attend an international conference. From that time on I began taking online English conversation lessons, and it has become possible for me to have a simple conversation in English.
The content of the poster that I registered was a case report about a middle-aged man who was hospitalized with fever, urinary retention and hiccups. Initially, he did not have a headache or neurological symptoms and was, therefore, not diagnosed as a neurological emergency at the early stage of his hospitalization. As he developed disturbances of consciousness on day 5, he was diagnosed with brainstem encephalitis. The main subject of this case report was the necessity to be careful in a primary care setting because we might sometimes encounter a neurological emergency with untypical symptoms.
By the way, I was worried about being asked questions in the poster session because I felt I would not be able to converse freely, as it was my first time attending an international conference. Fortunately, a foreign man spent some time looking at my poster. I asked him if he was interested in it. He said he was interested in my case report. Then, I explained it and exchanged some ideas with him. That was the first time I discussed a medical issue in English with a foreigner.
While I was looking at another poster, a foreign woman spoke to me. She was the author of the poster. She explained it to me. The poster was a case report about a patient with pyogenic granuloma. I was interested in the symptom of bleeding from that condition. We discussed several aspects of it. And then, we talked about our jobs. She seemed to love working in general practice. It was a friendly conversation, and I felt comfortable. I had not expected to be able to talk with foreigners in a foreign country about the extent to which we love our jobs, before this precious experience.
Participating in the WONCA 2018 conference has been a wonderful opportunity for me.
 

 辻 マリコ 沖縄県立中部病院


 今年の2月、プライマリケア学会の地方会でWONCAの存在を教えていただき、楽しそうな会だと思い参加させていただきました。初めての国際学会でした。
 上司にお願いし、Young Doctors’ Preconferenceから全日程参加させていただきました。Young Doctors’ PreconferenceではHands onが印象的でした。各国の家庭医が自分たちの経験をもとにディスカッションを行いました。なぜ家庭医を選んだか・家庭医のいい点悪い点・興味のある分野など、一見簡単そうなテーマですが、専攻医として病院で各科をローテートしておりまだ家庭医として働いたことがない自分にとっては新鮮なディスカッションでした。ある国では家庭医の7割が女性と聞き驚き、実際の現場を見てみたいと思いました。一方で家庭医が浸透していない国も多くあることがわかり、共通の悩みがあることを認識しました。医療システムの違いに驚いたり、誇りをもって家庭医として働かれている姿を垣間見ることができたり、有意義なディスカッションでした。学会初日は自分のポスター発表がありました。初めての英語でのポスターでしたが、次回はoralに挑戦したいと思いました。
 3日目には関節・腹部エコーのHands onを受けました。関節エコーは今までにレクチャーを受けたことがなく、実践を行いながら学び今後積極的に関節エコーをやっていきたいと思いました。腹部エコーは日常診療でよく使用しますが、復習できました。また、グループのメンバーとお互いの国での診療のスタイルやエコーの使用頻度など話すこともできました。
 日中たくさんの刺激を受け大変勉強になりましたが、その他アクティビティもとても刺激的でした。Young Doctors’ Party・オープニングセレモニー・ヨーロッパの人々とのカラオケ・JAPAN night・Fun Runと毎日いろんな人と触れ合いました。ヨーロッパの人々はとてもエネルギッシュで真剣に仕事の話をしていたかと思えばカラオケでは歌って踊って盛り上がっていました。自分もそんな方々に負けずにオンもオフもエネルギッシュに活動したいと思いました。私は沖縄県の離島診療に携わりたいと思い現在の後期研修プログラムで研修しているため、県外のプライマリケア研修や県外での家庭医について知識が少なく、県外で活躍されている日本の家庭医の方たちとの交流も貴重な体験でした。
 海外の人とお互いの医療システムや医療に関して話すためには日本の医療システムや医療についてもっと知らなければ話が進まないと痛感しました。今後の自分の課題です。
 今後は離島での診療スタイルや現状を世界に発信していきたいです。日本の他県からももちろん、海外からも離島に見に来てもらえるよう日々精進したいです。
 今回関わっていただいたすべての方に感謝申し上げます。
  

 水谷 直也 公立朝来医療センター


 このたびのWONCA 2018で、3日目の10月19日に、ポスター発表の機会を賜りました。免疫抑制の背景を特に持たない65歳女性のMandibular Herpes Zosterの症例について、発表させていただきました。午後3時45分から20分間のcoffee breakが、発表時間に割り当てられていました。ちょうど同日のランチョンセミナーの演題が水痘ワクチンであり、「この症例で今後ワクチンを接種するかどうか」のclinical questionについて、ご意見をいただきました。
 ランチョンセミナーで紹介されたエビデンス(※1)によると、帯状疱疹による疾病負荷の軽減には60歳代でのワクチン接種でefficacyが高くなる反面、帯状疱疹後神経痛への移行を抑制するには、70歳以上での接種でわずかにefficacyが高まるようです。本症例で確認した発症後のVZV-IgG抗体価(EIA法で128以上)は、本邦のガイドライン(※2)では基準を満たす陽性に該当します。上記のエビデンスを踏まえれば、65歳で発症し、薬物治療により神経痛が消失している経過からは、まずは70歳に至るまでの抗体価の推移をフォローアップすることが望ましいと考えられました。
 学会2日目には、当プログラム指導医の見坂恒明先生が、Augmentation of Medical Students' Appreciation of Community-based Medicine by an Educational Program of Community-based Medicine Involving Residential Homestaysの演題で、医学生の地域医療夏季セミナー時における住民宅へのホームステイの実習効果を検討し、口頭発表されました。上記は惜しくも受賞はならなかったものの、最優秀賞にあたるBest Oral Presentation Award at WONCA 2018の最終候補10演題にノミネートされました。
 世界保健機関のShin Young-soo先生は、3日目のplenary lectureで21世紀のプライマリ・ヘルスケアの行動目標のひとつとしてinvolves and empowers communitiesを挙げておられました。地域社会に働きかけ、結び付きを強めていくことがプライマリ・ケアの担い手には求められており、同時に、世界の各地域に共通する課題であるということではないでしょうか。
 兵庫県の山村地域に依拠する当プログラムから、国際学会に初めて参加しました。Think globally, act locallyを意識しつつ日々の業務や研修に繋げてゆくべく、種々の刺激にさらされるまたとない機会となりました。

参考文献
1. Oxman MN, Levin MJ, Johnson GR, et al. A vaccine to prevent herpes zoster and postherpetic neuralgia in older adults. N Engl J Med. 2005;352:2271-2284.
2. 日本環境感染学会作成.医療関係者のためのワクチンガイドライン第2版.日本環境感染学会誌.2014;29(Suppl.3):S1-S14.
  

WS2-061 Technology As a Tool for Family Medicine Teaching and Primary Care Advocacy 金城 謙太郎 亀田森の里病院


 24個並列のセッション(セミナー、ワークショップ、口演)の時間枠で、家庭医療・プライマリケアを広める手段としての技術についてワークショップに出席しました。
 韓国で家庭医のKyleさんの発表は、Social Mediaを通した若手プライマリ・グループの紹介や、ソーシャルメデイア(SoMe)を使って発信・グループ形成が仕事のモチベーションアップ、バーンアウト減少のエビデンスがある事、研究をソーシャルメデイアを通じて行ったり、MOOCS(Massive Open Online Courses)といった大規模公開オンライン講義の聴講等の紹介でした。また、Social Media Ambassadorとして、学会開催中にツイッターで内容や情報の提供、AAFP2014では医者ラッパーのZdocを招待したとのことでした。
 米国で家庭医のKimさんの発表はSocial Media Ambassador 2018として学会中にFacebook video, Facebook, Instagram, Video for Medscape, ツイッターなどで6人の学会公認大使が情報拡散し、セッションの席をリザーブしてツイッターでの情報拡散や、ロールモデルを見つけるカフェ(role cafe)を開催したり、自分の生きがい(IKIGAI)を技術を使って見つける提案をしていました。また、一般的に利用されている技術として、Telemedicine, Wearables(スマートウオッチ)、アプリ(翻訳システム、POCUS等)、バーチャルリアリテイで医学教育、AI(Artificial IntelligenceでACLSや、救急アルゴリズムをセット、アレクサ、グーグルホームなどの利用で問診)などの利用を提唱していました。
 これらの講義を受けて質問時間後に、参加者30名ほどを2グループに分けて、今後の技術活用をグループ討論後、発表するワークショップとなりました。私たちのグループは、グルジア、上海、シンガポール、ドバイ、韓国、スペインの家庭医等での話し合いをしました。糖尿病用の患者・医師双方向アプリの開発の提案でしたが、アプリ開発の費用(約4万ドル、アップデート対応で更に費用がかかる)、Web siteで情報入手可能などの意見がありました。他のグループは、患者医療情報をカードにしてリーダーで世界どこでも読めるようにするのはどうかとの提案でしたが、セキュリテイーの問題など議論がありました。一番議論で良かった人にLOTTEのパイが贈られるとのことでしたが、Workshop中にツイッターアカウントを立ち上げツイートした私が思いがけず頂きました(Kimさん、感謝!)。
 米国大統領もツイッターによる情報拡散を行う時代なので、日本でも家庭医療、プライマリ・ケアを浸透させるには、ブログ、Facebook、ツイッターなどSOMeを有効利用すべきであると痛感しました。また、今後、研究で各国の家庭医と連携する事や、学会開催時の認定ツイッター大使等の情報拡散ツールとしての有効活用ができればと考えています。
   

SE1-008 The role of EHealth in Primary Care 溝江 篤 赤穂市民病院


 初めての国際学会、初めてのWONCAに参加しました。私は興味があったThe role of EHealth in Primary CareというSEに参加しました。
 韓国やWHO西大西洋でのEHealth導入例をEHealthのフレームワークを通して説明していただけました。その中でも目を引いたのが韓国国内における病院間での連絡の電子化です。韓国の一部の大規模病院では近隣のプライマリ・ケア提供病院との連絡を全て電子化する計画が運用されていました。
 私は病院間での電子情報のやりとりの大きな問題として予算と個人情報の漏えいがあると考えていました。韓国では政府が主体となって取り組んでいるため両者がスムーズに解決されているのだと感じました。政府主体で事前に患者から同意を得ているとのことで情報漏えいのリスクを回避し、政府主体のため予算がつく。そういった流れの中で韓国医療はますます電子化されていくのだと思いました。
 日本でも病院間の連絡の電子化は一部の施設でなされています。厚生労働省もPeOPLeなど取り組みを行っており電子化の流れが進んでいくと思います。電子化についてもプライマリ・ケアをやっている立場の人と政府が手を組むことでより多くの人に行き渡ればいいなと感じました。
 WONCAでは世界中の人と関わりを持つことができました。拙い英語でも聞いてくれる先生ばかりでとてもフレンドーな学会でした。最後に口演発表を手厚く指導していただいた指導医の一瀬直日(いっせなおひ)先生に感謝をさせていただきます。
  

 近藤 敬太 藤田医科大学


 2018/10、第22回WONCA World Conferenceが韓国、ソウルで開催されました。日本からも大勢の家庭医が参加し、海外からの参加者では日本人が最も多かったとのことでした!今回、自分自身初参加したWONCAでのWSなどを中心に報告させて頂きます。
 まず、私が参加したのは大会の前日に行われたYoung Doctor’s preconferenceです。各国の若手家庭医が集まり、それぞれの国の医療について熱く討論を交わしました。特に午後はそれぞれの国でどのような医療が行われているか、我々の専門性は何か、総合診療の良い点悪い点、なぜ総合診療医になったのか等を(まさにリアル)ワールドカフェ方式で討論しました!それぞれの国や地域でこんなにも総合診療に対する考え方、捉え方が違うのかと驚くと共に、日本では在宅医療など、独自の文化が発展していることも良く分かりました。海外の人達にはとても新鮮な様子で、日本の医療を海外にアピールしていくことが非常に重要であることを感じました。
 大会では学会の英国交換留学でホストを務めてくれたDr. Arnoupe、Dr. Soniaと共同で「Working with difficult colleagues」というテーマでWSを行いました。普段なかなか取り扱わないテーマで、「もし自分の後輩医師が毎日遅刻してきたら」、「先輩医師が酒臭い状態で出勤したら」、「同じ診療所の同僚が腰椎の骨転移を見逃していたら」、それぞれどのようにフィードバックするかについて文化の違いも交えて討論を行いました。驚いたのは、特に英国などのGPではこういった同僚や部下へどのように対処するか、各論的に後期研修の中で講義を受けているという点です。アジア圏ではほとんど教わっていないことも分かりました。討論を通じて相手の特性や文化的背景に応じてフィードバックを行うことでより良い効果が得られることが分かり、明日からの診療や後輩教育にも役立つ内容でした。
 その他にも整形外科のエコーWSや、プライマリ・ケア領域のITを使った事業など、興味深い話が多く、海外から来た大勢の家庭医と討論ができ、非常に有意義な国際学会となりました。若手でも一致団結し、来年度のWONCA APR in京都に向けて日本の総合診療を更に盛り上げていきたいと思います!


第16回 秋季生涯教育セミナー 2018/9/15~17 (大阪)

WS29 在宅医療における医療・ケア方針決定プロセスについて考えましょう 石丸 直人 明石医療センター


(1) WSの主旨と主たる内容
 人生の最終段階における医療・ケアの決定ガイドラインを踏まえて、在宅診療現場ではどうかという問題提起でWSは始まりました。アドバンスケアプラニング(ACP)として、かかりつけ医や多職種のケアスタッフが利用可能なサービスを情報提供し継続的に一緒に考えていくプロセスが重要であると強調されました。
 ケース1では、MMSE20点の認知症で肺炎になった95歳女性の症例について検討しました。食事も認知できず、家族はそろそろ最後か、看取りで良いかという症例です。
 延命と救命におけるコードの違い、本人、家族の価値観の確認が不可欠という意見がでました。
 これを受けて、「食べられない≠認知症終末期」、認知症は予後不良と考えられても改善することがあるという文献の紹介がありました。在宅現場では、環境要因、低活動性せん妄による偽終末期の患者がいる可能性もあり、入院中の医学的アセスメントが不十分な可能性も提案されました。
 ケース2は、COPD、屋内ADL、HOT、独居の80歳男性が8ヶ月前に肺炎発症しADL低下し、呼吸苦で緊急往診したところ、低酸素血症あり、救急搬送し、挿管、気管切開されて診療所に戻ってきたという症例でした。何かできたことはないかとグループ討論しました。
 「在宅医から本人へ入院・挿管についての意思確認を多職種カンファレンスで行っていれば良かった。」という意見に続き、意思確認のチャンスがどこにあったかという議論になりました。独居身寄りなしの方であれば死亡後の終活についても話しておく必要があるという意見もありました。
 最後に、司会者から、ACPについて話す相手は親族関係のみに限定されず、親しい友達でもよいとガイドラインの紹介がありました。チーム形成や在宅-病院との連携、多職種の意見を踏まえることが重要であると強調されました。
 会場からは、ACP確認のタイミングについて、患者から「もうそろそろ」とそぶりがあるとき、誕生日におめでとうの後にさりげなく聞くといった意見がありました。薬剤師が聞く場合には、どのように最後を迎えたいかというより、どのように生きたいかの方が聞きやすいという意見もありました。
(2) 衝撃を受けたこと、心に残ったこと
 偽終末期かどうか、可逆性について探る必要性があると、ケースディスカッションの中で話題になりました。その後のレクチャーでタイミング良く偽終末期の話が出たので、よい振り返りの機会となりました。
(3) 今後の医療活動に与えると期待される影響
 入院中のアセスメントを漏れなく在宅医療現場に伝達するシステムや、在宅医療現場とシームレスに連携するコミュニティホスピタルの拡充が課題と感じました。今回のワークショップで検討したように、在宅現場で遭遇することの多い非がん終末期の実例を多職種で検討する場を、今後ももっていきたいと思います。
  

WS27 勉強会を始めよう!-継続するカンファレンス開催のために必要なこと- 水谷 直也 朝来医療センター


 2018年度秋季セミナー3日目のワークショップ「勉強会を始めよう!-継続するカンファレンス開催のために必要なこと-」に、運営スタッフとして携わりました。地域の診療所、中小規模病院から大学病院まで、幅広いセッティングで勤務する若手からベテランまでの医師、薬剤師および看護師の計18名に、ご参加いただきました。
 院内外での勉強会、抄読会、カンファレンスといった自主的な学習活動を、魅力を高めながら効率的に運営し、なおかつ継続していくためには、どんな仕組みに基づいて、どんな工夫を凝らすとよいのでしょうか。参加者はまず、ADDIEモデル【写真】と呼ばれる教育・学習効果を促進するための5つのステップからなるフレームワークについて、企画代表者からレクチャーを受けました。
 ADDIEモデルは、①学習ニーズの分析②運営方法の設計③教育方略の開発を経て④教育・学習活動を実施し、その後に①から④までの各ステップを⑤評価するという循環的な枠組みです。同モデルに基づいた勉強会を企画することを目的として、参加者は3グループに分かれ、ディスカッションに入りました。
 院内多職種での勉強会を計画したグループでは「職種間の相互理解を促して業務の充実・効率化を進める」をゴールとし、具体的な事例について、入院から退院までの時系列のなかで各職種がどのようにかかわったかを持ち回りで発表する、との設計案がまとまりました。
 別のグループでは、離島研修を含む総合診療専門医養成プログラムにおいて、地理的制約のもと、限られた指導体制を効果的に運用し研修を充実させるための方略について、検討が進められていました。もうひとつのグループでは、自分たちの実践が変容することを勉強会の目的に据えたうえで、診療行動のアウトカムを評価・分析しながら次なる学習ニーズを更新しつつ、会を運営していくというADDIEモデルの核心が強調されていました。
 勉強会をいかにして継続するか、については「懇親会を適宜設ける」「準備の省力化を図る」といった意見のほか、参加者・対象者の温度差を緩和しモチベーションを刺激するために「ICTやNSTのような、各職種が専門認定制度として志向できるテーマに重点を置いて企画してはどうか」や、多職種勉強会であれば「発表を部署単位で割り当てることで、個人にかかる負担が減ることになり、加えて部署として発表者のサポートもできるためやりやすい」とのアイデアが共有されていました。
 教育や学習にかかわる理論について知り、理解することは、自身の学びをメタ・レベルで認識できる機会にほかならず、私のような初学者には、とても新鮮な体験でした。自分たちの実践におけるquality improvementを促進するためのツールとして、ぜひともADDIEモデルを利活用いただきたいです。
 

WS31 Annual Evidence Update in Primary Care 2018 大浦 誠 南砺市民病院 総合診療科


 東京北医療センターの岡田悟先生と栃木医療センターの矢吹先生、横浜市立脳卒中・神経脊椎センターの五十嵐俊先生による今年話題になったエビデンスの紹介であった。
領域はプライマリケア領域で多岐にわたり
①起立性低血圧の診断のための起立試験は高齢者に限れば1分程度で良い
②太極拳は転倒予防効果あり
③癌関連静脈血栓症治療におけるDOACの治療効果は低分子ヘパリンと非劣勢だが上部消化管リスクあり
④高齢者うつの2質問法の感度は91.8%でありGDS15の感度84.4%より有効である
⑤失神の原因における肺塞栓の可能性は1%未満である(PESIT研究の追試)
⑥AMI疑いに酸素投与しても1年後死亡率を下げない(DETO2X-AMI Trial)
⑦Bendopneaは収縮不全型心不全(HFrEF)の診断予測に有効(18%に症状あり)である
⑧坐骨神経痛にはプレガバリンは無効である
⑨服薬のリマインダーデバイスは服薬アドヒアランスを高めない
⑩急性咽頭炎の症状緩和にステロイドが有効である
⑪ACCORD研究の追試(高リスクの2型糖尿病への厳格な血糖コントロールは主要アウトカムを減らさず総死亡を増やした)
⑫VADT試験の追試(糖尿病に対する厳格な治療によるAMIや心不全、下肢切断を下げるというレガシー効果があるという結果だったが、延長すると差が無くなった)
⑬変形性膝関節症にトリアムシノロンの関節注射は除痛効果なし
 という13本の論文を紹介された。4人グループで島になり研究結果の予想を相談してから挙手をするという形式で行われ、ともすれば単調になりがちなクイズ形式ではなく、双方向性を重視した飽きのこない進行であった。普段からエビデンスに関わるメールチェックやSNSでの情報収集をしているつもりであったが、自分の興味・関心を選定していたようだ。⑨のようなアドヒアランス研究の論文は恥ずかしながら全く知らなかった。そして、当然ではあるが全く知らないものはクイズにも答えられないのである。これはただ単に私の直観力がないのかもしれないが、なんとなく効果があるんだろうなという印象でも、検証すると意外な事実が分かるということを実感した。その結果も数年後には覆るかもしれないので、アンテナを常に張って鵜呑みにしない姿勢が必要だと感じた。
 では、常識が常に変わり続けるEBMの世界で、最新の知識を得ることに意味があるのだろうか。私は、これは医師の教養なのではないかと考える。標準的治療を知っていてもその治療をすべての患者に盲目的に当てはめるのではなく、個別性を考えるという姿勢はEBMの重要なステップである。もしも治療をしないという結果は同じになったとしても、知っていてやらないのか、知らないからやれないのでは意味が異なる。教養は自らの診療レベルを高めるという信念を持って常に知識をブラッシュアップしたいと思う。最後の質疑応答で3人の演者のエビデンスの勉強方法についての質問があり、大量のメールに目を通す、実診療での疑問を一つ一つ調べる、ブログの強制力など三者三様のコメントがあったのも印象的であった。聴衆も自分に合った勉強法で勉強していこうと意欲を燃やしたに違いない。かく言う私も職場でEBM勉強会を開きたいと考えた一人である。知的好奇心をくすぐられる有意義なWSであった。
 

WS14 地域包括ケアにおける意思決定支援 足立大樹 ホームケアクリニック横浜港南


 昨今関心の高いテーマである「地域包括ケア」と「意思決定支援」との関係についてどのような議論ができるか楽しみにしながら参加しました。とある超高齢の在宅患者の終末期において、家族間の意見が分かれ、それに引きずられる形で本人にとっては不本意だったと推定される病院死となった事例を経験されたことを契機として、土肥先生と小川看護師の意思決定支援の探求が始まったことがまず語られました。
 そのような学びの中で、土肥先生たちはSCAQ(Self-Care Agency Questionnaire)と呼ばれる、看護領域で患者のセルフケア能力を測定する質問紙に出会います。SCAQを用いることで、その人がどうありたいかを知ることができ、さらにそれを多職種で共有することが可能となるというのです。実際に多職種で支援を行った事例も提示され、SCAQを活用することでその人の強み・弱みを多職種で共有し連携することにより、支援が円滑になることが理解できました。
 その後、「ACPを誰とどのようなタイミングで行うか?」「ACPの多職種地域連携をいかに行うか?」をテーマとしたグループワークが行われました。参加者からはACPをどう行うか分からない、実際にあまりできていないという声も多く聞かれました。一方で、患者本人の誕生日に家族に集まってもらうというようなきっかけ作りの工夫や、連絡ノートで情報共有するといった多職種連携での試みなども参加者からコメントがありました。
 ACPや意思決定支援については第一線の現場で苦労されている方々がまだまだ多いようです。その中でSCAQのようなツールは大変参考になるものであり、ここで学べて良かったです。一方で、ACPや意思決定支援がなかなか浸透しないのは何故なのか、それらの営みそのものが孕む問題についても今後議論できる場があればとも感じました。

WS26 ケアの移行の質を高める情報伝達マネジメント 川瀨隆一 至誠堂総合病院


 獨協医科大学総合診療科の本田優希先生、練馬光が丘病院総合診療科の先生方による「ケアの移行(Transition of care)に関わる情報伝達」のワークショップに参加してきました。副題に「エビデンスに基づく病棟実務」とあり、病棟実務における確固たる指示出しや申し送りが出来ず、もやもやしていた自分にとって得られるものが多いのではないかと考え、セッション参加を希望しました。
 入院患者のTransition of careにおける、カルテ記載、指示簿、症例プレゼン、当直への申し送り、退院療養計画書、退院サマリーといった情報伝達の実務に関して、事前学習を経てからの参加となりました。海外のエビデンスなどを参考に、まずは情報伝達における手法や背景をレクチャーしていただきました。レクチャーの合間にワークショップとして症例プレゼンと退院療養計画書に関して行いました。提示された症例に関するプレゼンおよびそのフィードバックを行いました。評価シートを通しての評価はなかなか難しく、教育者の指導も必要だと感じました。退院療養計画書の記載では伝えるべきポイントを集約して作成したのですが、ここまで内容の濃いものを作成した経験はなかったこともあり、非常に有益なワークショップでした。
 今回の参加者が専攻医以上の経験年数の医師と経験年数のある薬剤師の方といった事もあり、現場でのTransition of careのリアルな問題点が出されており、ディスカッション以外でも内容の濃い質疑が行われました。同じ目標や共通基盤をもってケアにあたるチーム作りが大切であるとレクチャーであり、地域や病院といったフィールドの違いはあるものの、この考え方は大切であると感じました。豊富なエビデンスに裏付けられたTransition of careはどれも実践したいものばかりでした。今回は臨床経験の多い医療者が参加していましたが、初学者や看護師・セラピストといった他職種が参加しても、しっかり持ち帰れる内容であったと思います。近々週刊医学界新聞でも連載が始まるようですので、今回参加が叶わなかった方は目を通してもらっても良いかと思います。
 

WS33 医療者のコミュニケーション向上のためのアンガーマネジメント 竹内 あずさ くるみ薬局 河内長野店


 念願かなって、アンガーマネジメントのWSを受講しました。
 このWSは、三重の学術大会でも開催されたのですが、超人気で、立ち見すらできずに残念した経緯があり、今回、とても楽しみにしていました。
 アンガーマネジメントは1970年代にアメリカで生まれ、その後9.11で社会不安が広がり、犯罪や暴動が増えた時に、盛んになったそうです。日本にも導入され、医療や介護の領域でも普及するようになってきました。
 アンガーマネジメントとは、「怒り」を「後悔しないように自分の対処法を考えること」であって、単に怒りを抑えたり我慢したりすることではないのです。怒りというのはごく当たり前の感情です。怒りは氷山の一角(二次感情)であり、本来その奥に潜む不安や、苦しさ、悲しさなどの感情(一次感情)こそが相手に伝えたい感情なのです。相手が何かをした時に、怒りそのものを伝えるのではなく、怒りの奥にある感情をうまく相手に伝えていく方法がアンガーマネジメントなんだということを、今回受講して初めて理解できました。
 グループワークでは、「最近ちょっとイラっとしたこと」について、各人がホワイトボードに記述し、それをグループでシェアしました。それから怒りの記述に対し、他の人が10点満点で怒りの点数をつけていきます。面白いことに、自分はそこまで怒っていないのに、高い怒りの点数をつけてくださる方が多かったこと。普段は見ることのできない怒りのツボを垣間見て、人の怒りのツボは異なることを実感しました。
 アンガーマネジメントのポイントは3つ。

  1. (衝動のコントロール)怒りの感情のピークは6秒。それをいかにコントロールするか。
  2. (思考のコントロール)私達を怒らせるものの正体は、「理想と現実のギャップ」であり、自身の根底にあるもの「こうあるべき」の相互の相違が怒りを生むという。自分にとっては正しい価値観でも、人それぞれ異なる価値観を持つので、そんな考え方もあるんだなと、自身の許容範囲を広げるがことが必要。
  3. (行動のコントロール)自分のこだわりが、自分でコントロールできるかできないかを判断する。相手の行動変容は困難。自分を変える方が相手を変えるより容易い。
 怒りの連鎖を断ち切るために、全ての人が自分の感情に責任を持てればよい。そのためにはアンガーマネジメントを共にする仲間を増やすことが大切だとのことでした。
 今回の学びを生かし、自身の怒りに向き合ってうまくコントロールしていきたいです。
 高橋先生のWSの内容は、回を重ねるごとにますます進化しているとのこと。
 次回のWSが楽しみです。席が確保できるとよいのですが。
   


第9回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会 2018/6/16~17 (三重)

キャリアCafé 企画1 キャリアの”もやもや”、一緒に考えてみませんか? 島 直子 みちのく医療センター


 キャリアCaféの企画の1つである「キャリアの”もやもや”、一緒に考えてみませんか?」に企画者として参加しました。私自身、今後の自分のキャリアについて”もやもや”としていたため、参加者としても楽しみました。最初は賀来先生によるレクチャー。そもそも「キャリア」とは何なのか、ということから始まり、「キャリア」という言葉の定義について学びました。その上でキャリアコンピテンシーについて学び、その後、実際にCareer Competencies Indicators、Career Competencies Questionnaireというツールを用いて、参加者各自で自分のキャリアコンピテンシーを測定するというワークを行いました。各自でコンピテンシーを測定したら、その結果をスモールグループに分かれて共有し、自分の気づきを共有しました。職種、経験年数、職場の状況によって多少異なるものはありましたが、各自、自分はキャリアに対する考え方として、どのような傾向にあるのかということに気づくきっかけになったようでした。私自身も今後の課題が少し明確になったと思います。「キャリア」という言葉はよく使用しますが、実際どういうものなのか、どのように考えていくべきなのか、ということを体系的に学ぶ機会はあまりありません。その結果、キャリアについて”もやもや”と悩むことになってしまうのですが、今回の企画に参加したことで、キャリアプランニングをするうえで自分が今どの段階にいるのか、何が必要なのかに気づくことができ、”もやもや”に向かい合うきっかけにすることができたと思います。
  


第13回 若手医師のための家庭医療学冬期セミナー 2018/2/10~11 (東京)

WS10 論文を読まずにEBMを実践しよう! 高瀬義祥 南砺市民病院総合診療科


 私は「論文を読まずにEBMを実践する」とはどういうことだろうか、とタイトルにひかれて参加しました。ワークショップの前半では、EBMの5つのstepについての講義を受けました。
 後半では前半を踏まえて、「ある高齢者の降圧治療を強化するべきか」というケースでグループワークをしました。実際に「論文を読まずに」日本語の診療ガイドラインやUpToDate、DynaMed、Mindsを批判的吟味して、特に患者への適用ができるのかをみんなで議論しました。私のグループでは患者の希望の「夫の介護を続けるために脳卒中になりたくない」ために降圧治療をすることのエビデンスについて、調べてみると根拠がなくむしろ過降圧による転倒や飲み間違いなどのリスクを抱えるので降圧しない方が良いとの意見に集約されました。
 会の最後ではグループワークで出た意見を発表しました。様々な意見がありましたが、患者の考える真のアウトカムと医師が考える真のアウトカムが違う場合にどうすればいいか、という疑問も挙がっていました。
 今回のワークショップでは、実際に論文を読まずに診療ガイドラインや二次資料をナナメ読みして患者への適用を考えるということができるようになりました。しかし、診療ガイドラインの推奨部分を読むだけではやはり不十分で、慎重に適用を考える場面では推奨の根拠になる文面を探したり、有意差があると言われている項目が絶対値としてどれだけの効果があるのかを探したりすることが重要だと感じました。
 


第15回 秋季生涯教育セミナー 2017/11/11~12 (大阪)

WS8 医療人類学のレンズで症例検討会 森川暢 JCHO東京城東病院


 医療人類学×症例検討ということで、どのような相乗効果が生まれるか楽しみにしながら参加しました。実際に医師が病院で経験した困難な症例を通して、そこに潜む問題について医師の視点、文化人類学学者の視点を交えて皆でグループディスカッションをしました。医師は科学的な物語で事象をとらえますが、それは患者や家族にとっては難しいことかもしれません。言い換えると、医師の世界はキュア、患者の世界はケアであり両者の責務が衝突・対立したときに医師はどのようにするべきか。なんらかの妥協点をみつけることはできなかったのかというのが今回のWSのメインテーマであったと思います。文化人類学的には、様々な物語が同時並行で動いていて、ひとつの物語が必ずしも正解ではないというのがとても新鮮に感じました。またさらにマクロな視点で言えば、日本はなんでも病院でやるという文化があるのではないかという話も出ました。例えば、スリランカなどでは病院にいる期間が極端にすくないので文化的な背景も大切であるという意見もありました。そのような日本の文化があることを前提に、キュアとケアが対立し医師が「モヤモヤ」したときに、その橋渡しをどうするかが今後の課題かと感じました。そのような「モヤモヤ」を学会で共有するのはどうかという話も出ました。人類学者の先生のコメントを聞いて、新たな考え方を学べたとても有意義な時間だったと思います。続編も期待しています。
   
 

WS14 「あなたの患者さんの旅行は安全ですか ~Basic course.1, プライマリ・ケアにおける渡航に伴うリスクマネジメント~
南郷栄秀 東京北医療センター 総合診療科


 中山久仁子先生率いる渡航医療チームによる、渡航医療ベーシックコースに参加しました。渡航前のワクチンスケジュールの立て方を扱った昨年の企画に続き、「総合診療医のための渡航医学の基礎編」と銘打って、プライマリ・ケア従事者が渡航者の渡航先での疾病を軽減・回避するために必要なリスクマネジメントを学ぶものでした。渡航における基礎知識や最新の話題も含む盛りだくさんな3時間で、5人の演者がリレー形式でレクチャーした後、グループワークを行うという内容でした。
 まず、渡航医学はリスクマネジメントが大事であり、渡航地、渡航者、介入の3要素を考えることが基本であると教えていただきました。また、どの国に行くかよりも、現地でどのような行動を取るべきかに注意すると良いということがよく理解できました。
 さらに、感染症予防で便利なグッズ、渡航前のワクチンスケジュールを組み立てるワーク、英文診断書を書く際の細かいコツ、渡航の際に加入する医療保険の選び方、小児・妊婦・高齢者の渡航の注意点、慢性疾患患者が渡航する際の考慮事項、帰国後医療を行う際の情報源など、実践的な知識がふんだんに得られるとてもおトクなセッションでした。とりわけ、現役の検疫官がマタ旅(妊婦の旅行)の危険性を繰り返し強調していていたのでしっかり刷り込まれました。
 海外渡航者が増えている今日、このセッションはたくさんの人に聴いてほしいと感じました。次の機会にはぜひ、各テーマのより詳しい話をじっくり聴きたいと思います。
    

WS22 エビデンスに基づいているけれどシンプルで分かりやすい一歩上の骨粗鬆症診療 森川暢 JCHO東京城東病院


 EBMの第一人者である南郷先生に、骨粗しょう症の最新のエビデンスを教えていただけるという、またとない機会であり参加させていただきました。内容は、南郷先生のwebエビデンス集である「なんごろく」に準じたものであり、すんなりと拝聴することができました。南郷先生も3時間近くにおよぶ長丁場をいかに参加者に楽しんでもらうかに注力されていて、飽きずに勉強をすることができました。EBMやガイドラインの基礎から始まり、骨粗しょう症の診断および治療に関するエビデンスと、骨粗しょう症全般に関するエッセンスをギュッとまとめて勉強することができました。クイズ形式で進めてくださったので、自分の足りないところも明確になり、改めて勉強をしないといけないなと、奮起するきっかけにもなりました。また、最後のまとめも「なんごろく」に掲載されているアルゴリズムを提示してくださったので、「なんごろく」を見ながら復習することが可能で、スムーズに知識の整理をすることができました。パワーポイントの見やすさ、熱い語りなど南郷先生の魅力が詰まった素晴らしいレクチャーだったと思います。個人的には、ステロイド使用者のビスホスホネートの位置づけや骨粗しょう症におけるカルシウム製剤の位置づけなど、新たに得た知見も多かったです。また来年度以降も、同様の企画があればぜひ参加させていただきたいと思いました。
   


第29回 学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナー 2017/8/5~7 (滋賀)

特別企画 「職種」の一歩先へ!思いをつなぐ多職種連携 源馬優花 聖路加国際大学看護学部3年


 今回の特別企画は、他職種を知り、共に考え、話し合う場を作るというテーマで参加者全員250 人でグループワークを行うというものでした。私はスタッフとしてファシリテーターも務めながら参加しました。事例は、入院し生きがいもなくADLが下がった高齢の男性が、一か月後に娘の結婚式があると知り、自分の足で立って花束を受け取りたいと思っているがどうするか??というものでした。まず参加者一人一人が専門職の役になって知識のないままグループワークをし、その後各々の専門職の方のお話を聞いてからまたグループワークを行いました。私たちのグループでは最初、「結婚式に出るんだし、とりあえず一か月後退院を目指そう!」となり、各々の職種でやれることを書き出していきました。その後専門職の方のお話を聞いたあとの二回目のグループワークでは、理学療法士役の参加者の方から「一か月後の退院は筋力的に無理だ」という意見があり、『花束を受け取る』ことを最重要課題として話し合いを行いました。二回目のグループワークでは最初の時よりも、お互いの話を聞き、より良いプランを作ろうと協力できていたと思います。振り返りの際には、「きちんと方向性が定まると協力がしやすい」「自分の考えていた課題が共有できると、自分ひとりで背負わなくていいんだという気持ちになった」という意見が参加者から出ました。また、普段大学の授業では知る機会の少ない職種の役割についても学ぶことが出来ました。
 多職種連携が重要なのはよく聞くお話ですが、なぜ大事なのかまではなかなか考える機会がありません。今回考えたことを忘れず、臨床に出たいなと思いました。
    

初日企画 卒後10年目からのメッセージ 〜君もできる!家庭医療!〜 山村文乃 愛知医科大学1回生


 私は、面接の時に総合診療医になりたいと言っていたにも関わらず、具体的なことがよくわかっていなかったので、詳しく知りたいと思って今回夏期セミナーに参加しました。自分の想像では家庭医は自ら開業しないとやっていけないのだと思っていましたが、グループ診療を視野に入れて開業すると聞いた時、大変驚きました。また、内科開業医だと色々なことが限られている印象を受けました。例えば、外来診療は主に成人から高齢者であるとか、ワクチンはインフルエンザのみ行っているとか、乳幼児健診は行なっていないなどでした。しかし、家庭医は全てを受け入れられる柔軟さがあるという印象を受けました。ただ、家庭医はなんでもやれます!やります!というお話を聞いていて思ったことは、家庭医になる人ってすごく頭が良く、凡人では無理なのではないかと思っていました。でも、堀越先生は、家庭医はスペシャルじゃなくても目指せると断言されていました。専門医は他科の知識が家庭医より少なく、その分専門の科の知識が飛び抜けて多い。家庭医は他の専門医より全科についての知識は豊富だが、突出して知識が豊富な科はない。だから、スペシャルじゃなくても、全科に対して興味が持てるならやれるのだとお話を聞いていて思いました。
 今回参加して、将来に対する不安が軽減し、とても有意義な時間を過ごせたと思います。ありがとうございました。

WS:ポートフォリオって何だ? 専門医行きのチケット作成方法、教えます。 山田祐揮 PCs関東/横浜市立大学


 「ポートフォリオ…なにそれ?」というのが、ポートフォリオ(以下PF)という言葉を耳にした時の今の学生の反応として最も一般的なものでしょう。省察的実践能力を磨くためのツールとしても、学生が家庭医療・総合診療に関連する理論や考え方の「使いどころ」を学ぶためのツールとしても、以前からPFには非常に関心がありましたが、学生の立場でPFについて学べる場はほぼ皆無でした。その意味で、伝統ある夏期セミナーにPFを主題としたセッションが登場したことはとても嬉しいものがありました。セッションではレポート・サマリーとPFの相違点を中心にPFの意義を学び、またPF作成の3ステップについても知ることができました。また、症例からエントリー項目を抽出し、それに基づいて省察するというワークを通じて、PF作成の一端を体感することができました。個人的には、セッションの締めの言葉でもあった『難しさを感じた経験を、PFを通じて自らの「成長」に変えていく』という点が非常に印象的でした。これは学生にとっても、自らの経験を他人の目に触れる形で言語化して振り返り、学ぶことの意義の大きさを実感させられるtake home messageと強く感じました。このセッションを通じて、家庭医療に関心のある学生がPFについて学ぶ機会が少ないことは非常にもったいないという思いを更に強くしました。家庭医療・総合診療に関する理論や考え方の「使いどころ」にコンパクトに触れられる絶好のツールであるばかりでなく、省察/実践の大切さを実感できるまたとないチャンスなのですから…。改めて、PFや省察/実践について学ぶ貴重な機会を下さった講師の先生方に心から御礼申し上げます。

生理を理解して、プライベートを充実させよう 仲上大貴 城西大学 薬学部 / PCs関東


<セッション自体での気付き>
 『生理前の女性には近づかないようにする』というのが、このセッションを受講する前の私の信条であった。しかし、グループワークを通して何人かの女性の主観的な話を聞いたことで気づいたことは『PMSは、性状も強さも多様』だという事である。いままで少しでも苛ついている女性を、画一的に避けてきたことを反省するに至った。
 このとき、生理用品に色水を吸収させるデモンストレーションがあったことで、男性にも生理にまつわる悩みをイメージしやすいよう工夫がなされており、普段に増して活発な議論が行われた。企画に参加した女性からは「男性にこの講義をもっと受けて欲しい」という意見が多数寄せられ、『男性が女性特有の悩みに共感できることが、ジェンダー理解への第一歩』であると痛感した。この経験から、これまで以上に個々人に合わせた配慮・対応をしていきたいと思うようになった。
<セッション選択の自由と医療人の多様性について>
 夏期セミナー中に「生理のセッションに興味があったが、『他人の目』が気になって申し込めなかった」という男子学生に出会った。周りに遠慮して自らの学びの機会を失ってしまうのは本人のみならず、患者にとっても機会損失につながるのではないだろうか。
 このような小さな諦めを少しずつ無くしていけたら、より素晴らしい夏期セミナーにできるのではないかと感じた。自分にできることから少しずつ変えていきたい。

「やってみよう!在宅医療! 〜実際の事例に学ぶ、日本の医療の未来の姿〜」 山崎瑞季 名城大学薬学部


 2025年問題や何故今在宅医療が必要なのかなどの総論についてのお話の後、退院前カンファレンスのロールプレイを行った。参加者が患者、家族、病棟医師、訪問医師、訪問看護師、訪問薬剤師、訪問リハ役に分かれて、ファシリテーションをしてくださるスタッフの医師がMSW役(退院前カンファレンスの司会役)となり、実際にあった症例についてディスカッションを行った。在宅医療についての特集の動画を見た後、今回の退院前カンファレンスの感想や、動画を見た感想をグループやセッション全体で共有した。
 共有した感想の中で、患者役が「自分のために集まってくれただけでも嬉しい」と発言していた。このセッションに参加するまで、退院前カンファレンスは「準備」だと捉えていたが、ここからケアが始まっているんだなと思った。患者や家族、他職種のできることをすり合わせる、どちらかというと無機質なイメージを持っていたが、できるようになりたいことを、現在の状態や今後の予想から実現可能かを考え、新たな目標を立てていくことで専門職はこれからの仕事に目標ができ、患者も自分や周りの人との時間をより大切にできるのかなと思った。
 前向きな話ばかりとはいかず、bad newsの伝え方に苦労していたが、訪問看護役が、good newsから話すことで、患者役もbad newsへの素直な気持ちを伝えていて、話す順序や話し方が大切だと改めて感じた。
 座学と実践が程よくあり、学びも気づきも多い2時間だった。
  

絶対身に着けたい効果的な症例プレゼンテーションの仕方 牟田博記 筑波大学医学類


 症例プレゼンテーションにはどんな意義があるのか。医療者にとっては医療スタッフ間の情報共有のため。研修医にとっては患者情報を簡潔にまとめることによって、医学知識の獲得と疾患に関する理解を深めるため。指導医にとっては研修医の理解度を確認・評価することができ、アセスメントの医学的妥当性と治療方針の確認をするため。そして、患者にとっては円滑で質の高い治療を受けられるといったメリットがある。では、よいプレゼンテーションとは何か。①目的や論点が明快 ②簡潔である ③情報が正確である ④情報が必要かつ十分である ⑤論点が絞り込まれている ⑥ユーモアがある、などが挙げられる。症例プレゼンテーションで効率的に伝えるためには、診断仮説を念頭に置き、それを診断又は除外するために必要な情報を組み込むことにある。
 本セッションではSLEでステロイド内服中の40歳女性、マイコプラズマ肺炎の症例を基にプレゼンテーションの練習を行った。オープニングステートメントの重要性や限られたプレゼンテーション時間の中、与えられた様々な情報を過不足なく取捨選択するために、そして、如何に自分がその疾患(本症例の場合、マイコプラズマ肺炎)について理解しているかを聞き手に知ってもらうためのテクニック学んだ。また、同じ情報でも伝える順番によって聞き手の印象が変わることを知った。
 効率的なプレゼンテーションは医療者にとって、ひいては患者の利益となることを念頭に入れなくてはならない。筆者はいまプレゼンテーション訓練の入り口に立ったばかりである。

患者さんの病の経過に寄り添おう ~すわ家直伝!疾患のステージ別アプローチ~ 仲田彩乃 東京医科歯科大学


 このセッションは、疾患のステージ別に一人の患者さんを診つづけるということをテーマに、とある患者さんの物語を、救急受診する急性期、入院して退院するまでの回復期、その後の家での生活を支える維持期の3つのステージに分けてそれぞれグループワークを行いました。物語は、とある患者さんが、家の前で転倒したところから始まります。発症日時・発症様式、Red flagに注意しながらグループで問診、身体所見を見て鑑別を挙げていきます。身体所見は、ある程度鑑別を挙げ、疑わしい疾患に特徴的なものを狙って取りに行かなければなりません。つまり、正しい鑑別を思いつかなければとれない所見があるのです。次のグループワークは、退院希望の患者さんが家で無事に暮らせるよう、様々な職種になりきって多職種カンファレンスのワークを行いました。職種によって得意範囲が違うことから、一人一人の情報量は少なくても、全員で合わせれば患者さんの全体像が見えてきます。多職種で関わる意義を学びました。最後のグループワークでは、BPSモデルを用いながら、維持期の患者さんに対してできることを考えました。病気を治すことだけが医療ではありません。また、患者さんにとって、病気や入院生活というのは「非日常」であるということを忘れてはいけません。患者さんの「日常の生活」を支えるために、医療ができることを考え続けながら、医療に従事していかなければならないと考えさせられたセッションでした。

懇親会 近藤敬太 藤田保健衛生大学/総合診療・家庭医療プログラム


 今年も夏期セミナーの目玉イベント!全員で行われる懇親会(ブルーシート)が開催されました!普段は雲の上の存在の様な凄い先生方から学生さんまで、皆が無礼講で家庭医療・総合診療への思いを語らう事が出来る最高の機会です!!
 まずは恒例となっているスタッフからのアルコールハラスメントへの注意喚起、そして未成年の飲酒禁止徹底を、今回はあの有名なネタで披露して下さいました。乾杯は丸山理事長から、学会や家庭医療・総合診療への熱い思いとともに行われました。
 今回は北海道、東北、関東、中部、関西、四国・九州・沖縄など、地域毎に分かれてはじまりました。自身の地域でまさに今、地域医療の最前線に立っている医師や多職種の方の話に学生さん達も興味津々でした!私は中部地方での参加でしたが、「同じ地域でこんなにも同じ志を持っている方々がいるんだ!」と、とても感激しました。
 夜が更けるにつれ、皆、地域も関係なくバラバラに。ワークショップで同じになった人達や、地域は違っても久しぶりに会う同志達と熱い思いを語らい、夜は更けていきます。二日目の懇親会では毎年恒例となった富山の御飯の振る舞いもあり、各地の名産品を皆で美味しく頂けるのもこの会の醍醐味だと思います!
 専攻医になり、こんなに素晴らしい会を開催して頂ける学会、学生スタッフの方々に本当に感謝感激です。これからも家庭医療学夏期セミナー、そして学生さんから医師までが熱い思いを語り合える懇親会(ブルーシート)が永久に続くことを強く願います!
 


第8回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会 2017/5/13~14 (高松)

学術大会に参加して 宮澤麻子 ひたち太田家庭医療診療所


 高松での学会に参加してきました。このリポートでは講演やワークショップ以外の会場の雰囲気などをお伝えします。今回はプライマリ・ケア連合学会学術集会が初めて四国で行われるとのことで、香川だけでなく四国四県で協力して運営されていました。地理的な不利もありながら参加者が約4500人もいたそうです。
 JRホテルクレメントの高級感と対照的に、サンポート高松やシンボルタワーは庶民的な雰囲気で、カフェやラウンジを一般の方が利用している中で移動するという、住民の皆さんの日常の週末に紛れ込んだような不思議な感覚がありました。何回か迷ってしまいましたがそのたびに親切な会場スタッフの方に助けていただきました。
 うどん屋台コーナーはさぬき麺業さんで、初日、2日目とも1000食を用意したそうですが、初日は15:30までの予定に対して14時頃でも既に売り切れ終了していました。2日目の午前にリベンジして長い行列に並び、海の見えるデッキで冷たいぶっかけうどんを気持ち良くいただきました。盛況だったキャリアカフェの奥にあったドリンクコーナーには和三盆やオリーブチョコも置いてあり、さりげなく四国らしいおもてなしがみられました。
 コンサートのような斬新な大会長講演に始まり、新しい出会いや懐かしい仲間との再会、発表やワークショップの達成感などを通じて「元気をもらえた学会」という言葉が多くの人から聞かれた学術集会でした。

招待講演
 1)総合診療 日本の卒前教育における重要な役割 2)僻地総合診療への医学部卒業後の進路の創出
 村井三哉 東湖会 北浦診療所/鉾田病院


 最近、個人的な理由でオーストラリアが好きになり、豪州のGPはどう発展してきたのだろうかという興味から参加。1題目はP.Worley教授。母の看取りと妻の出産がまさにプライマリ・ケアの中で行われたことを紹介。「より多くのGPをつくるための教育をするのが21世紀の医学校の使命である。それはコストではなく、コミュニテイーへの投資である」と目からウロコの指摘があった。豪州での取り組みは、臓器別及びGP教育に共通の短期実習の欠点が解消される長期地域実習に学生をおいたこと。これにより実習が見学型からチームに組み込まれるスタッフ型になり、医学生は基本的臨床能力が上がり、満足度も上がり、指導医の負担も減ることが示された。日本も卒前教育の要となる総合診療に大きく舵を切り始めているが、長期実習の実現化を目指して議論を深める絶好の機会。2題目はL.Walters教授。電話、IT、ビデオなどを駆使して卒後の僻地医療をどのように行うのか、GPのアイデンテイテイーを卒後にどう構築していくかをテーマとしていました。豪州は広大であり、都市を一歩離れればあっという間に僻地となり、医療へのアクセスが悪化し、人々の健康が低下する。そんな現実のなかで僻地の医療ニーズは何かをとらえ、それに必要な研修を提供するrural generalismの確立が重要。具体的には4年間(1-2-1年)の重要な分野のトレーニングを行う。政府の役割(政策や財政支援)、個人の努力(学生や医師を指導)だけでなく、学術団体として組織的なとりくみ(継続的に総合診療を提供・孤立させない支援、アカデミズム、ロールモデルの紹介、国際的な連携)が重要である。
 

学会本部企画シンポジウム1 プライマリ・ケアにおける人工知能の可能性 片桐健太 貴船薬局グループ つぼ川薬局


 人工知能(AI)と聞くとパッ!と思い浮かぶのはなんだろうか。恐らく多くの方がpepperのような人型を想像されるのではないだろうか。本シンポジウムでは、”病歴聴取などを行う問診票をAIに置き換える自動問診システム”と”診断困難時の診断支援システム”の2例が紹介された。
 1例目の自動問診システム(問診ナビ®)は、症状・その期間・増悪因子などを選択していき、最終的に文章にして”紹介状”のようなものが出来上がる。ある程度定型化できる質問までは自動化できるため、最終的な診断の前までは医師でなくても行う事ができる。将来的には、救急搬送時や薬局でのトリアージの場面での活用が期待されている。
 2例目の”診断支援システム”では、様々な場面に於いてAIが今後活躍できる未来像が紹介されたが、知識量の多いAIと臨床推論の得意な人間の協同によって、より良い医療が提供できると締めくくった。
 以上に共通する点として、『機械だけではある程度のところまでしかいけない。100%代替をするのは難しい。人でしか判断がつかないような場面や、経験から選択する場面などでは最終的に人が介入する』という事が言える。
 高度な機械と共存することで、人が今以上に人でしかできないことで活躍できる未来がすぐそこまで来ている。

教育講演5 ワクチンupdate 長谷川陽一 三豊総合病院


 ワクチンについて勉強しよ〜という単純な思いで参加しました。トップバッターの中山久仁子先生は臨床医の立場から、「(日常臨床で注意が必要な)キャッチアップ」についてのレクチャーをして頂きました。キャッチアップというと、小さい頃にワクチンを打てていなかった子供に足りないワクチンを打つというイメージですが、定期接種に追加されたものや、海外転勤などの環境の変化に伴い必要なワクチンについても考える必要があると学びました。2人目の武内治郎先生(京都大学)は公衆衛生の立場からの講演でした。基本再生産数(R0)とは1人の感染者が感受性のある人口集団に持ち込まれた時に、その1人が平均して何人に直接感染するかを示した値のことです。これは感染症によって異なりますが、感染予防のために、キャッチアップ接種や複数回接種で集団免疫に必要な水準に到達させることが重要と学びました。最後の講演者は神戸大学の岩田健太郎先生で、ワクチン接種におけるコミュニケーションやメディア等について熱く語っていただきました。全体質疑応答のワクチンアンチ論者のお母さんとのコミュニケーションはとても参考になりました。「本当に絶対にワクチンはダメ!」という確固たる理論がある人は珍しく、印象として10人中1人ぐらいだそうです。「本当にワクチン効果あるのですか」と聞いてくる人は丁寧な説明で分かってくれる。ワクチン未接種の人が仮に少数残っても他の人達が皆ワクチンを打てば集団免疫により子供を守れる。また、絶対に打たないと決めている人を敵対視してしまうのではなく、子供を守りたいという気持ちは一緒なのだと相手と共通の理解基盤を見出すことで先が開けるのかもしれません。それが我々家庭医の強みかもしれないという言葉で幕を閉じ、勇気づけられた講演でした。

学会ジョイントプログラム1 高齢者の自動車運転 宮原圭佑 津軽保健生活協同組合 健生病院


 昨今、高齢者による自動車事故が全国的に問題になっています。2017年3月の道路交通法改正により、交通違反の有無に関わらず、講習予備検査で認知症が疑われた場合、医師の診察か義務化されました。今回の法改正を踏まえ、プライマリ・ケア医が認知症の診断に関わる機会が増え、これまで以上に専門医との連携が重要になると予想されます。本講演では「家庭医療学的」に把握するポイントについて、精神科専門医からのアドバイス・提言もありました。ドライバー自身、そして歩行者の安全を守る意味でも、医療者がこの判断を適切に行うことは重要であると改めて実感しました。一方、運転免許取り消しのために医療機関へのアクセスが不便になったり、仕事に支障をきたしたり、家族内での役割が失われたりすることで、その方の心身の健康に大きな影響を与えることになるリスクもあります。免許停止となったのちの公共交通機関のサービスなどの充実も重要です。我々医療者も安易な認知症診断を行うことなく、プライマリ・ケア医として地域住民の健康を守るために、十分な知識と専門医との連携が必要であると感じました。さらに、地域を診るという視点から、今後浮かび上がってくるであろう様々な問題について声を上げ、その問題を多くの医師にそして行政にも提言できるようになることも必要と感じました。

シンポジウム1 不適切な多剤処方・ポリファーマシーは「薬」の罪か? 岡村俊子 岡村薬局


 「答えは否である。」 日本の高齢者は複数の病態と複数の疾患を持っており、エビデンスに基づいた治療ガイドラインに沿った治療を重ねていると自然にポリファーマシーにたどり着きます。その結果、薬の副作用や副次的効果を治療するために新たな処方を繰り返されて薬の数がふえてしまう「処方カスケード」がおこる場合があります。
 予防可能な副作用を減らして過不足ない医療を施すためには
 ・多剤処方への知識習得
 ・Do処方の見直し
 ・高齢者の変調の原因は薬剤性ではないか疑ってみる
 ・医師―薬剤師、病診―診診等の多職種間のコミュニケーション
 等が必要であると徳田先生は話されました。また、宮田先生は患者の治療への過度な期待もポリファーマシーの要因の一つなので、治療ゴールを明確にし患者へのリスクと利益を評価したうえで「患者と医療者が合意」し、共通のプロセスを踏むこと、患者の熟考への支援を継続することが重要であるということを話されました。
 我々薬剤師の役割として期待されることは、
 ・薬の重複・禁忌の発見
 ・絶対リスクのエビデンスのある副作用・相互作用の発見と医師へのフィードバック
 ・薬物動態からの処方カスケードへのフォロー
 ・正式な診断名と検査値の把握
 であるということを再認識しました。そして残薬発生の要因の一つとして「医師の処方意図の通りに服薬されていない」という事実があります。薬局での患者との会話からその事実を知る機会は多いですが、なぜ服薬していないのかを確認し患者の服薬アドヒアランスを高めることも薬剤師の責務です。今回、ひまわり薬局が発表した「お薬手帳に貼った白紙のシールに患者本人に残薬数と薬品名を記入し受診・来局してもらう」という「可視化」の取組は患者の自発的な服薬管理に繋げる成功事例の一つです。「今、行っている調剤は患者中心のポリファーマシーになっているか?」今回のテーマは今後の日常業務を行ううえで非常に有意義な内容であったと思います。
  

シンポジウム6 病院総合医に求められる診療スキルとは? 宮原圭佑 津軽保健生活協同組合 健生病院


◯病院総合医が知っておきたい “超音波スキル上級編”
   松村 俊二先生 国家公務員共済組合連合会吉島病院 内科・総合診療科
 超音波検査は基本操作が簡便でベッドサイドでも可能、リアルタイム性に富む、非侵襲的で患者の負担も少ないなどそのスキルを習得できれば日常診療で非常に有用な検査です。デモンストレーションしながらの講演で、その高いスキルの一端を感じることができ、今後の診療でも繰り返し行いながらスキルを高めていきたいと感じました。
 
◯クリティカルな神経兆候を見逃さないため診療技術を磨く
   黒川 勝巳先生 広島市立広島市民病院 脳神経内科
 頭痛、めまい、しびれ、一過性意識消失などの神経症状を診る機会は多いです。そしてそれらの原因疾患はほとんどがクリティカルなものではありません。その中にあるクリティカルなものを見逃さないことが重要であり、そのために様々なRed Flagsを見逃さないことが必要です。神経学的所見も重要ですがそれ以上に詳細な病歴聴取が重要となることを改めて実感することができました。
 
◯ER室でのトリアージスキル
   上田剛士先生 洛和会丸太町病院 救急・総合診療科
 災害時のトリアージのみならず、すべての救急疾患にトリアージが適応可能であり、救急医のみならずにプライマリ・ケア医にとってもトリアージスキルは重要なスキルの一つです。バイタルサインによるEarly Warning Scoreを始めとした様々なトリアージ法が提示され、トリアージスキルの奥深さを実感しました。

シンポジウム14 看取りの文化を取り戻そう!(実行委員会企画) 岡村俊子 岡村薬局


 地域包括ケアシステムの最重要課題のひとつは「看取りの体制づくり」です。システムづくりとは「医療者・市民・行政」の意識改革でもあります。まず、横須賀市健康部地域医療推進課の川名氏から在宅療養・在宅看取りも選択可能な地域づくりへの取り組みについての話がありました。現在は「リビング・ウィル」の作成を検討中ということでした。
 次に登壇した特別養護老人ホームグリーンヒル泉・横浜の小山氏は、一般的には病院と在宅の中間施設と認識されがちな特養の存在意義についての話でした。看取りの数だけではなく、質の高い看取り介護を目指すことにより、地域資源としての役割を果たすことができるとのことです。介護負担の大きさなどさまざまな事情から、施設入所という選択をする入所者・家族もいるでしょう。そのような人たちにとって、介護施設が安楽な余生を過ごすための『終の棲家』となることを期待しています。
 また、徳成寺の大山住職には終活についてお話して頂きました。私たちは「死への嫌悪感と生への執着」のあまり、死と向き合うことを先送りにしがちです。多死社会を迎えた今、日本の看取り文化も時代に合わせて変化していくべきではないでしょうか。
 そして私が一番興味深かったのは、箕岡医院/東京大学外学院医学系研究科医療倫理学分野の箕岡氏が話された『看取りにおける倫理問題とアドバンスケアプランニングの重要性』でした。「看取る」という結論は同じでも
 ・医学的アセスメントは十分か?
 ・治療が無益かどうかは誰が決めるのか?
 ・誰が適切な代理判断者か?
 ・本人の意思は途中で変化ないのか?
 その確認次第では、その人の運命が変わってしまいます。適切な看取りを行うために「患者・家族」サイドでは事前指示の普及・「医療」サイドではDNAR指示を適切に作成すること・「介護」の領域では「看取りの意思確認書」を作成することが肝要です。そして本人にとって最善の選択を行うために「患者・家族・関係者」の対話の促進と助言システムの構築を担う人材育成が必要だと感じました。
 私は吹田市で市民・医療・介護関係者による地域活動「吹田在宅ケアネット」に所属していますが、今回のシンポジウムは薬剤師として今後活動していくうえで非常に有意義なものであったと思います。



 
 

シンポジウム15 主治医として継続的に舵取りを行う手段としての在宅医療 山下勇樹 FDMI奈良家庭医療レジデンシープログラム


 八藤医師の講演内容にもありましたが、往診依頼を受ける患者さんの中には、これまで自分自身が診療経験の乏しい、または全くない疾患を有する患者さんからの往診希望というのもあると思います。その時に、診療経験がないので難しいだろうと初めから断ってしまっては、きっとその他の医療機関からも同様に往診を断られていることが予想され、行き場を失ってしまう可能性のある患者さんがいらっしゃるということを改めて認識しました。そこで、家庭医療のcompetencyの一つであるcontinuityを発揮し、最初は経験が乏しくて困ることもあるかもしれないが、患者さんとの関わりを継続していく中で、医師自身も勉強し経験を積み重ねていき、その患者さんへある程度妥当な医療を提供出来るようになるのではないかと感じました。実際自分のプログラムの往診患者さんの中にALSを患っている方がいらっしゃるが、当初は指導医と一緒に同行する中で、家庭医がどのように神経難病の患者さんと在宅で向き合っていくのか想像も出来なかったが、往診を繰り返すうちに、自身の中での苦手意識や疾患から背きたい感情が徐々に薄れ、診療していく中で困難な事が生じる可能性は予想されるが、専門医やその他コメディカル、さらには行政とも連携しながら往診を継続していくということが、今回の講演内容と重なり、主治医として舵取りを行いながら、困難な疾患を抱える患者さんへの在宅医療を支えると意味を改めて実感しました。

一般演題(ポスター)42高齢者ケア① 押切康子 御代の台薬局品川二葉店


 高齢者ケアのポスターという分類は、在宅ではない取り組みでした。ここでもやはりポリファーマシーへの取り組みが挙げられていました。薬剤師として面白かったのは、P-250医療療養型病床における薬剤師による「EBMスタイル診療支援」の安全性の検討でした。丁寧に症例を集められていて減薬というより使用を考慮すべきという点が、当たり前ですが、難しいということです。しっかりとしたEBMにのっとり、かつ医師との協働において成り立たせていることがすごいな!羨ましいな!と思いました。他にも入院時に薬剤師が介入することや在宅診療において介入することの難しさの報告など、いろいろと取り組んでおられることが分かりました。かかりつけ医で物忘れ外来を受けられるなんて、専門医がいない僻地に住む人や都会で他の方に知られたくない家族にとっては気心の知れた医師に診てもらうことがどれほど安心であるかと思いました。この学会では、多職種の在り方を医師も含めて一緒に学べることがいいなぁと思っています。

WS16 多職種で考える!患者さんに伝わる伝え方 天野雅之 南奈良総合医療センター総合内科


 医者と患者がより効果的なコミュニケーションを取れるよう、参加者の「伝えるスキル」のレベルアップを目指して計画されたこのワークショップ(以下WS)。立ち見の見学者もいるほど超満員のなか、WSは和やかな雰囲気でスタートしました。
 まず、「効果的なコミュニケーションは疾病体験に対する認識を変えることが出来る」ということが鮮やかなレクチャーでシェアされ、相手にどの情報をどのように伝えるかの大切さを学びました。次に、集団に対するコミュニケーションスキルの向上を目指して、「風邪に抗菌薬を使わない」ことを啓発するポスター作りのコンペティションが開催されました。どの作品もハイレベルで、審査員もうなる出来栄えでした。そして、個人に対するコミュニケーションスキルの向上を目指して、「Shared decision making」の手法が紹介されました。ロールプレイも準備されており、参加者全員が効果を実体験することができました。最期に、よりよく伝わる4つのTips「専門用語を避ける、メモを使う、希望・価値観を把握する、理解度を確認する」が紹介され、ワークショップがお開きとなりました。
 今回のWSを通じて、「目の前のイシューに対して正しい問いを立てる」、「どの情報が相手の心に響くか考えてから伝える」などのパールを得ることができました。また、WS全体に柴田先生のハツラツさや熱意が込められており、明るく楽しい雰囲気で学ぶことができました。
 

WS21 こんなに違う?結構似ている?オーストラリアと日本のへき地医療 村井三哉 東湖会 北浦診療所/鉾田病院


 前半は離島に勤務した若手医師が経験した産科救急のケースを紹介。本島から120km離れた、人口1300人の島。卒後3年目にして産科救急に遭遇する。27週の妊婦が腹痛と性器出血で来院。ほんの基礎的な研修をうけただけで、医師1人での出産、まして病的な対応ができるべくもない。内診すら自信がない。さてこの危機的状況をどう乗り切るか。参加者はそれを踏まえ、グループデイスカッション。「私が関わる産科医療」として参加者自身の研修直後の経験などを共有した。後半はDR. L. Walters が豪州のへき地医療の現状を報告。とにかくオーストラリアは広大で一部の都市を除けば、あっという間に千人~1、2万のへき地になってしまう。圧倒的に医療アクセスが悪い。ACRRM(Australian College of Rural and Remote Medicine=オーストラリア僻地医療学会) の取り組みを紹介。医学生を地域に組み込む。へき地医療に向かう医師のスキルをどうやってあげるか。地道な調査をもとに何を研修するか決める。GPの実践・教育には強靭性、そして勇気が必要と訴える。しみいる言葉であった。フロアーから活発な質疑応答(産科訴訟、ミスの予防またはカバー対策、地域住民との交流、医師の孤立化の問題など)があった。その後日本での総合診療医の診療範囲、つまり卒前卒後教育でどこまでできるべきか、教えるべきかなど話し合った。
 

FMIG mixer 2017:目指せ10%、日本版FMIG全員集合!TTPで教育パイプラインを構築しよう! 河村勇志 愛媛大学


 家庭医療・総合診療。私自身も昨今よく耳にしているワードで、医学生にもようやく浸透してきた分野だと思います。しかし、実際のところ日本では、大学卒業時に家庭医療の分野を志す学生の割合は約3%だそうです。米国でも10~20%で、最近は低下傾向にあると聞きました。数値で見るとまだまだこれからだということがよくわかります。この現状を改善するために、家庭医療(以下FM)の面白さを伝え、将来的にFMを担う人材を増やすことを目標として活動しているFamily Medicine Interest Group(FMIG)という学生サークルが米国にはあります。今回の企画では、オレゴン健康科学大学(以下OHSU)の学生がFMIGの活動を報告してくれました。FMに関するレクチャーやハンズオンwork shopなどその活動内容は多岐にわたります。特に印象深かったのが、参加する学生の層をFMの経験度合いでExploring, Considering, Committedの3段階に分け、活動内容をそれぞれ工夫していることです。FMに初めて接する人はパーティーなどを通して親しんでもらう、ある程度興味が出たらFMに関してのレクチャーを行う、最終的に実際に患者さんと接してもらうといったような具合です。活動内容はアイデア次第でいくらでもありそうです。大事なのは、参加者の層やニーズを如何に把握するかだと思いました。
 宮崎大学はOHSUと連携してFMIGの活動を展開しているようです。活気のある学生ばかりで今後の宮崎FMIGの活動が楽しみです。また、自分もFMの面白さを伝えられるようになりたいと思いました。

インタレストグループ「家業継承を考える」 長谷川陽一 三豊総合病院


 開業医の息子、娘、継承する側の父親たち40名弱が参加したこのグループでは、前半は静岡県山間部、埼玉県郊外で医院を継承した2名の中堅の先生からナマの声がギュッと詰まった実体験をお話いただきました。「糖尿病でピオグリタゾン処方して、浮腫が出てきたらフロセミドを出すなど、総合診療科のカンファレンスでこの処方は何なんだ…と、同僚と批判していた開業医の姿が自分の親と重なり、父に対する尊敬が崩れていったんです (TдT)」 そんな講師の言葉から会場内は何とも言えない雰囲気と笑いに包まれました。見渡すと周りに頷いている人も。臨床的にレベルが低いと感じることや、古くからいる医療スタッフが変化を嫌がることへの苛立ち、長年続いた施設の文化を変える悩み、利益を出すプレッシャーなどのnegativeな一面を抱える一方で、家業継承だからこそのcontinuity(継続性)という大きなメリットや、自分自身の成長や親子だからできる決断など知ることができました。後半はグループ毎に参加者自身の悩みを相談しあいました。家業継承に関するグループは自分自身経験なく、普段バラバラの地域にいるからこそ、デリケートなことも相談しやすいと感じました。「Facebookなどのグループで、それぞれが悩みを打ち明けたりする場はどうでしょう」という提案が生まれ、企画責任者の先生も「ぜひ!」と話をしていたので、今後何らかの形でグループができるかもしれません。最後に、全国の家業継承に悩む方々が出会い、不安を解消し前向きになる場を作って頂いた企画側の先生方に感謝申し上げます。


第12回若手医師のための家庭医療学冬期セミナー 2017/2/11~12 (東京)

WS7 エクストリーム4D~超困難事例を体感する~ 水本潤希 愛媛生協病院


 初期研修中に困難事例、複雑事例をたびたび経験し、他の病院ではどのように向き合っているのか知りたくて参加しました。超困難事例を「体感する」というコンセプトそのまま、医師の一人称視点で作成されたケース提示動画では、患者宅を訪れるシーンで、患者宅のにおいや、咳のしぶき、患者の戸惑い、怒りなど、まさに五感に訴える映画仕立てになっていて、このワークショップの自由度がエクストリームだなと感じました。ありとあらゆる問題を抱えている60代の男性がCOPD増悪で入院(のちに結核と判明)したが本人は強く家に帰りたがっている、という事例を基に、多職種で行う臨床倫理カンファレンスのロールプレイを行いました。大阪家庭医療センターでは月1回このカンファを行っているようで、実践から得られたポイントも教えていただきました。その後の議論は、事例の内容にとどまらず、カンファを行う意義や、忙しい各職種の方々に参加してもらう工夫など多岐にわたりました。カンファをしたからと言ってすぐ答えが出るわけではなく、いつだってもやもやして終わるものだけど、カンファを積み重ねることがスタッフの自己効力感と経験値の蓄積につながり、何かの拍子に一気に問題解決の方に進むことがある、という話が印象的でした。

WS9 源家族×家庭医×現家族 ~ライフサイクルを軸にした省察的実践〜 水本潤希 愛媛生協病院


 医師自身の家族に対する思い、考えを振り返って共有し、ライフサイクルについて学び省察することで、実際の診療に応用するだけでなく、自分のキャリアへの問題解決にも役立てようというWSです。まず自分の家族図とライフサイクル上の課題を書き出し、参加者同士で共有しました。人それぞれ、現在直面している家族の発達課題があるようです。課題とそれに伴う危機はある程度予測可能なステージがあり、これを念頭に置くことで患者背景の把握、健康問題解決の端緒となります。その後、講師の方々の実例をもとに、現家族(いま所属している家族)と源家族(生まれ育った家族)についてグループで議論しました。ライフサイクルとはライフステージでありライフコースである、確かに一つひとつ順番に達成していく課題もあるけれど、一人ひとりの人生は多種多様であり、自分らしいコースを描いて当たり前、類型化されたライフステージとその人特有のライフコースをうまく使い分けることが大切なのではないかという結論に至りました。今までの自分の人生や経験、他の人が味わってきた困難や喜び、そして今まで出会ってきた患者さんについて、みんなで考え意見を出し合い言語化していく。これこそがまさに、家庭医療を学ぶというダイナミズムなのですね。不特定の参加者の前で自己開示をしていただいた講師の方々に、深く感謝いたします。

WS17 乳児健診 水本潤希 愛媛生協病院


 妻君(小児科専攻医)曰く、地域の小児科医は病気を診るのではなく、子どもの健やかな成長を支援するのが仕事である。単純な私は、かっこいい、自分もそうなりたいとすぐ感化されてしまい、このWSを受講しました。事前アンケートによると、小児を診療する機会は多いけれど健診はほぼしていないという参加者が多いようです。日々の診療に健診の視点を導入することをテーマに、レクチャーやロールプレイが繰り広げられました。日々是健診、その肝は、毎回の診察前に母子手帳、成長曲線で情報を集め、年齢に合わせて「小さいものを指でつかんで食べていますか」といった発達に関する質問をすることです。もちろん、評価するだけでなくその後も重要。発達段階の1つが引っ掛かっただけで即異常としない、しかし気軽に「大丈夫ですよ」ともいわない、良いところを認めて伸ばし、養育環境の評価を行い、そして継続的なフォローと、保健師をはじめとする多職種連携を推進する。文章にすると大仰ですが、講師の丁寧な説明と人柄のおかげで、これなら何とかできそうだという気持ちになります。ロールプレイは、子どもがなかなかハイハイしないと不安を感じていて、友だちの子どもと比べてしまい焦っている親にどう対応するかというもので、親役の真に迫る演技に医師役はタジタジでした。全体を通じて、小児だからと無暗に構える必要はなく、大事な点は普段の診療と同じなのだなと得心したWSでした。

WS20 模擬外来 菅藤賢治(かんとうけんじ) 勤医協中央病院/GPMEC


 家庭医療専門医試験で行われるCSA(Clinical Skill Assessment)という形式のいわゆる「模擬面接」試験を真似たワークショップであった。本来であればこれから試験を受ける世代が参加するワークショップであるが、試験方法や評価方法について関心があったので参加させていただいた。
 専門医試験では6つの課題がでるが、今回のワークショップではそのうち「患者教育(行動変容)」「心理社会(Bad news telling)」「高齢者(CGA)」の3つを90分のワークショップの中で実際に体験することができた。数人の即席チームをつくり3ステーションを回る形であったので実際に私が医師役で面接をしたのは1か所(患者教育)だけになった。8分間の模擬面接の後に評価者からフィードバックをもらうという流れであった。
 患者教育ブースでは禁煙に関する行動変容が課題であった。きっかけがあり熟考期から準備期に移行し始めた患者で、重要度は高いが自信度が低いためそこをどのように持ち上げていくかがポイントであった。終了後は行動変容理論等についての解説をしていただいた。
 心理社会ブースは外来でのがん告知であった。ここはSPさん(Simulated Patient 模擬患者)が患者役をしてくださり、かなり現実に近い面接の試験になった。SPIKES/SHAREなどに基づいた面接を意識すればよかったが、それ以上にSPさんから「患者」としての感情のフィードバックがあり、非常に生々しかった。告知後にこちらが「お辛いですか?」と患者さんの感情を聞いてしまう場面があり、「辛いのは間違いないが、自由に感情を表現させてほしかった」と話され、この一言から医師への信頼感が崩れたとのフィードバックを受けた。わずかな言い回しであり、医師役もほとんど意識していなかった表現であったので改めて自分たちの面接について振り返る機会となった。
 高齢者ブースではこれから訪問診療を導入する患者さんの初回面接、特にCGAを意識して聴取するという課題であった。基本的なCGA項目をスムーズに聴取して情報をまとめられるか、そしてその先にある患者さんの思いをどの程度短時間の中でくみ取れるかがテーマだった。店頭での骨折治療後でADL低下したため訪問診療となった患者さんの設定であったが、本当は歩いて自由にしたいが家族に迷惑をかけるかもしれないという思いがあるという細かいところまで設定されていた。
 いずれも普段の診療で非常によくあるケースであり、そこに対するフィードバックも非常に適切であった。やはり普段から基本的な診療スキルをきちんと意識しておくことが大切であると感じさせるワークショップであった。専門医試験でも模擬外来は実施されており、専攻医の先生方は一度は受講してもよいかもしれません。

冬期セミナー 12年を経て 朝倉健太郎 大福診療所


 2017年2月。悪天候に見舞われる地域も少なくないこの季節、今年も「若手医師のための家庭医療学冬期セミナー」が開催された。東京大学医学教育研究棟は、すっかりお馴染みの会場である。今年は、なんと12回目になるという。
 2006年の同じ日、記念すべき第1回冬期セミナーが東京で開催された。まだまだ学ぶチャンスの少なかった家庭医/総合診療の領域において、冬期セミナーは若手にとって絶好の学びのチャンスであり、ネットワークをつなぐ場であり、モチベーションを充電する場であった。私自身も当時、大きな期待を持って参加したことを、昨日のことのように覚えている。参加者は50名、開会講演と5つのワークショップ、そして閉会講演という流れであった。因みに、5つのワークショップは「家庭医のネットワーク」「家族志向のケア〜家族カンファレンスを通じて〜」「患者中心の医療」「clinical jazz〜臨床での振り返り〜」「家庭医らしい外来診療とは」であった。
 それから11年、冬期セミナーは大きく飛躍し、参加者は300名、ワークショップは28に及び、4つのプレセミナーと全体講演からなる一大イベントに成長した。企画を終えて間もなく、実行委員長松田真和先生からは「近くに仲間がいない専攻医やセミナーに参加できない医師も含めて、日本中の若手医師が一丸となって前進する一助になってほしいという想いで、セミナーを準備しました。当日はセミナー会場でもSNS上でも多くの方々に交流や学びを深めていただけたようで大変嬉しく、次のステージは確実に近づいていると感じました」とのコメントをいただいた。
 今回のワークショップで扱われた内容すべてを記述することはできないが、大きな枠組みを列挙すると以下のようになる。日常診療(身体所見、認知行動療法、行動変容、整形外科領域、乳幼児健診、アレルギー、ワクチン、精神科領域、緩和ケア、リハビリテーション、皮膚科領域、MUS、メンズヘルス、摂食嚥下)、地域包括ケア、ポートフォリオ、アルコール関連問題、複雑困難事例、健康の社会的決定因子、エンドオブライフケア、家族指向型ケア、ライフサイクル、IPE、EBM、自然災害、教育、経営・マネジメント、キャリア、コミュニティ促進、病院総合医、国際交流などなど。
 全体講演は、高浜町国保和田診療所の井階友貴先生を中心に、野瀬高浜町長、越林保健師、地域医療サポーターの会副代表横田氏はじめ10数名の地域包括ケアの実践者たちが集い、高浜町の取り組みを熱く語った。「関心のある人たちには届くが、そうでない人たちにはなかなか届かず、健康格差はますます開く…暮らしの中で自然に健康的な活動に関われる仕掛け作りが重要」という視点には、地域とともに歩んだノウハウが隠されていると感じた。会場に映し出されたスクリーンには、Facebookを用いた双方向性の議論が展開され、この時代ならではの知的活動と感じた。地域の実情は地域ごとに様々であり、他の成功事例をそのまま移行することが有用でないことは異口同音に語られているが、「地域には必ずファシリテータ役になる人たちがいて、そういう人たちと出会うためには常に発信しつづけなければならない」というコメントには、なるほどそうだと背中を押される感じがした。
 冬期セミナーには独特の雰囲気がある。若手から中堅へと羽ばたこうとする医師たちの、現場で日々向き合う悩みが根源になっている故かもしれない。新たな智や気づき、ここに集う人たちとの出会いが、それを別の形にかえようとしていることそのものが理由なのかもしれない。知ってか知らずか、今も昔もそれぞれが互いの触媒になっていることを、これまでとはまた違った角度からみたような気がする。


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